ICレコーダー、今年度の出荷、リニアPCM方式中心に115万台へ
2009年 10月 23日
◆国内のICレコーダー市場は、2007年度に約95万台、08年度には約105万台と着実に増加している。
三洋電機によると、09年度は前年比約110%の約115万台の出荷が見込まれているといい、小さな商品だが右肩上がりの成長を続けている。
会議のメモだけではなく、日常のちょっとしたメモとしての利用や音楽活動などの趣味で分野で使う人がも
増えてきている。
高音質への需要が高まっているのも、最近のICレコーダーの特徴だろう。
今までのICレコーダーは、MDレコーダーよりも音質が劣っていたが「よりきれいに」という市場の要望に応えてきた結果、音声データを圧縮せずに録音するリニアPCM方式に対応させ、音楽CD並みの音質が得られるようになっている。
◆市場での売れ筋は、高音質なリニアPCM方式で録音できる商品が中心になっている。
PCM対応機はICレコーダーの売り上げの約4割を占め、5割を超えそうな勢いだともいわれている。
またマイク機能の向上は、録音時の雑音を抑えられるようになってきた。遠くの音声もきれいに録音できる
ズームマイクを搭載した高機能機種もみられる。
三洋電機がいち早く採用してきた音声を圧縮して容量を増やすMP3形式は、パソコンでの再生が簡単な
うえ、長時間録音が可能といった特徴を持つ。
しかし圧縮せずに高音質を追求したリニアPCM方式が登場してからは、レコーダーで録音した音声をパ
ソコンに転送したりCDに移したり、にパソコンに取り込んだ音声をレコーダーで再生できるPCMの注目度が高まっている。
☆高音質機種の発売相次ぐ
ICレコーダーは高音質で、より長時間録音、簡単操作などから、用途は拡大している。
ビジネスだけに限らず、歌の練習という人たちや講義や楽器演奏の録音、バードウオッチングで鳥の声を
記録するといったニーズも増えているようだ。
売れ筋は、PCM対応は1万5000円前後で、非対応機では7000~8000円といったところ。
◆リニアPCMではシェアの高い三洋電機は、音楽CD並みの高音質でSDカードに録音が可能なリニアPCMレコーダー「ICR―PS004M」を10月21日から発売している。
市場価格は1万円前後。
この機種は小型であるうえ、原音生録リニアPCM&長時間録音MP3が用途に応じて選べるダブル録音
といった特徴を持つ。
さらに従来のカセットテープ感覚で使えるように、録音媒体にSDカードを採用している。
これによって初めてICレコーダーを使う人でも抵抗なく利用できるようにしている。
4GBや8GBの大容量SDカードを使えるように、長時間録音を可能にするSDHC規格にも対応してい。
◆一方ソニーは、楽器演奏やコーラスなどのさまざまな音楽シーンで、CDやDATの音質を超える96キロヘルツ 24ビット記録ができる、コンパクトサイズのリニアPCMレコーダー「PCM―M10」を10月21日から発売している。市場価格は3万円程度だという。
この機種は、最近のリニアPCMレコーダーへのニーズの高まりに応えたもので、とりわけ音楽用途での高音質な録音へのニーズに対応し、原音のまま、高音質な記録に初心者でも可能にした機種だとされている。
ボーカルの息づかいや弦をつま弾く微妙な音までも、忠実に記録することができるという。
全指向性マイクを採用して、いろんな音楽シーンでの録音に対応できる機能も備えている。
同社としては初めて、マイクロSDとマイクロSDHCにも初めて対応することで、メモリースティックと両方が選べるようにしている。
4GBの内蔵フラッシュメモリーとメモリーカードを併用すると、CDと同等の高音質で30時間以上の連続記録が可能だという。
最近ではまた、ペン型ICレコーダーも通販などで販売され始めており、メモツールに特化したニーズを生み出している。
録音はMP3方式で、録音時間は最大約68時間という機種も発売されている。
通常はボールペンとして使
い、会議など重要な時やメモがわりにも使えるというもので、録音した音声ファイルは、イヤフォンで再生し、パソコンと接続してパソコンで再生したり編集が可能だという。
☆新しい需要開拓が進む
ICレコーダーは、テープレコーダーやMDレコーダーよりも、長時間録音できるうえ、小さくて軽い、録音データの劣化がない、パソコンにデータ転送して編集が可能といった数多くの利点を持っている。
高機能化が進む一方で、使いやすいレコーダーとしての商品開発も進んでいる。
女性の需要をねらったカラフルな商品も登場している。
こうしたことから、今後もビジネス用途だけでなく趣味の用途など、新しい需要の拡大が進んでいくものとみられている。