変わる大阪・日本橋 電気を核にロボット、アニメ、フィギアの専門街へ
2006年 03月 22日
日本橋の電器店などで作る「でんでんタウン協栄会」(会長・土井栄治上新電機社長)では、電気とサブカルチャーの街として新たな顧客の誘引に乗り出している。先ごろのヤマダ電機が近接する難波地区に大型家電店「LABI1なんば」を出店するなど、関東資本による大型出店が続く大阪だがでんでんタウン協栄会は「日本橋電気街こそ大阪資本の本丸」として、新たな魅力ある街づくりに取り組んでいる。
古くは古着屋や古本店が軒を並べていた日本橋。太平洋戦争後にはラジオ部品を商う店が1店、2店と数を増やしていった。昭和30年代の家電ブームの時代になると部品店も家電店へと業態を変えるところが増え、今の電気街を形作ってきた。
平成7(1995)年に発売されたパソコンのOS「Windows 95」によって一気にやって来たパソコンブームで日本橋は再び活気を帯びることになるが、あくまでもメーカーか発売する新製品頼りの姿勢は、新時代に対応する店作りに遅れを取った。
その原因は電器店経営者の高齢化も見逃せない。相次ぐ閉店、空き店舗への今、サブカルチャーと呼ばれる新規業種の進出によって、電気街の顔は変わり始めた。
そこへ関東資本による大型店舗の大阪への進出である。さらには日本橋に拠点を構える地元家電量販店の業績不振、そして経営破たん-これらが街の変貌に一段と拍車をかけることになる。
◆サブカルチャに人気
それまでメーカーの新製品頼みだった集客策に限界を感じる電気街は、自らの力で集客をしなければ街は自滅する-そんな危機感を抱くようになってきた。
そこから出てきたのが日本橋街づくり振興会社の設立、毎月の赤札市の開催、今年2回目となった堺筋を歩行者天国にする「日本橋ストリートフェスタ」の実施などといった取り組みであった。
3月21日に行われた「第2回日本橋ストリートフェスタ」には、15万4000人(主催者発表)が、日本橋にやって来たという。開催が午後1時でパレードの終了が同4時だから実質3時間での数になる。
昨年のストリートフェスタの動員数はもちろんのこと、先日のヤマダ電機LABI1なんばのオープン日を凌ぐ数であった。
人を集める力は日本橋にはまだあることを今年もも実証したイベントであった。
動員数だけでなく、フェスタよりも早く、同18日から実施されていた売出しイベント「赤札市」では、「売れ行きもいつもよりも上回っていた」という声が聞かれ、ガラガラ抽選では液晶テレビなどを当てていた人もいた。
しかしこのイベントでも電気街が変化していることを感じさせた。
イベントにやって来た人たちの間で人気だったのはアニメやフィギア、ロボットであったことだ。日本橋が電気街は要素を薄めていくのだろうか。
◆日本橋CGアニメ村開設
変化しつつある電気街の新しい顔ひとつがアニメである。ストリートフェスタでは、CGアニメ上映会やCG制作体験教室などのイベントが行われた。
でんでんタウン協栄会がアニメを電気街の新しい顔にしようと取り組むのは、「日本橋がパソコンやハードディスク、メモリなどの機材、CGアニメ制作に欠かせないサブカルチャの資料が簡単に手に入る街であり、集客効果が見込める」からだ。
こうしたことから日本橋街づくり振興会社はこのほど、「日本橋CGアニメ村」を開設している。CGアニメ制作会社を誘致するなど関西のCGアニメ産業に一役買うと同時に、ロボットなどとともに日本橋が発信する新しい情報源として活用したい考えだ。