液晶プロジェクター 成長する教育市場 三洋電機、今秋、近くから投映できる大画面の新製品発売
2006年 07月 19日
◆プロジェクター、今年は512万台
ビジネス用途にとどまらず教育用やホームシアターなど、プロジェクターの市場は世界的に急速な拡大をみせている。三洋電機の調べによると、2005年の世界の市場規模は約412万台と言われており、毎年20%程度の勢いで伸びるものと予想されている。06年には512万台と、はじめて500万台を突破するものとみられる。
さらに07年には618万台、08年には728万台と、需要は右肩上がりになるものと予想されている。
こうした中で注目されているのが、教育用やSOHO市場での需要だ。プロジェクター市場全体の3分の1を占めるまでになっており、今後も年間約20%は伸びるとされている。
こういった用途で求められるのは、狭い場所での利用。持ち運びが容易で、簡単にパソコンと接続できるだけでなく、利用スペースに関係なく設置フリーで大画面を投影できることだ。
◆教育市場シェア20%へ
三洋電機が今年10月から発売する液晶プロジェクター「LP-XL40」(49万8千円)は、「超・短焦点レンズ」を搭載し、スクリーンなど投映面の近くに置いて大きな画面が映せるのが特徴。狭い場所での利用に適している。
このため主に学校の教室や企業の小会議室、SOHOでの利用を見込み、既存の事務機器やOA機器販売のルートを通じて販売していくという。
これの投入によって、教育用市場でのシェアを約2%にするとともに、プロジェクター全体のシェアも今の10%から20%を目指すとしている。
LP-XL40が焦点距離を短縮できたのは、レンズにその理由がある。
液晶プロジェクターは、通常、11枚のレンズで構成されているが、XL40はその外側に大口径非球面レンズを2枚採用している。しかもレンズの口径は同社のLP-Z4の約1・8倍も大きい。
これらによって、103センチの投映距離で80インチ、最短距離の76センチで60インチという大画面を投映できるようにしているというのだ。
◆黒板に近づけて投映
教室でのプロジェクターの利用には、省スペースが欠かせない条件だ。従来だと、黒板に投映するためには生徒の机の横にプロジェクターを設置しなければならなかった。
このため、プロジェクターが発する光や熱、ファンの騒音などが授業に支障を与えたり、教師が陰になって画面が見えづらいといったこともあった。
XL40は、教卓に設置することができるので、そんな問題も解消した。しかも、プロジェクターを画面に近づけることができるようになるという。
盗難防止のアラーム機能を内蔵したのも学校市場への導入を想定してのこと。
海外では学校での盗難事件も多数発生しており、パソコンとともにプロジェクターの盗難も少ないという。
そこで新たに本体に内蔵したのが、電源オフ時に作動する「振動感知式オーディオアラーム」だ。
常設設置時などにアラームオンにしておくと、盗難の際に振動を検知してアラームが鳴り響くといった仕組み。アラームを止めるには、側面の数字ボタンで暗証番号を入れなければならない。
このほかにも、スクリーンが用意できない教室で黒板に簡易投映する「黒(緑)板モード」などを搭載しているなど、教育市場向けならではの機能をふんだんに盛り込んでいると言えるだろう。
また使用後にプロジェクターのクールダウンを待たずに電源コードが抜ける「イージーオフ機能」や、電源コードを接続するとリモコン/本体ボタンを操作しなくても電源投入できる「オンスタート機能」なども揃っている。
◆国内の学校46万台も可能
ところで今、国内の学校(小学、中学、高校)では、役6万8千台のプロジェクターが導入されているという。1校あたりにすると1・8台になる。
これがもし1学年に1台導入されるとなると19万台、1クラスに1台ということになると導入台数は46万台にもなる。
三洋電機はXL40のモバイル性の高さを訴求していくことによって、その数字を実現することは難しくないだろう、とみている。